StanSmith氏と共に、
日の丸を背負ったヒーローたちへの期待を綴る

2017.7.7 UPDATE

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2017年6月20日、この日の朝はSNSの通知音で目を覚ました。
スマートフォンを覗くと
『《Overwatch World Cup 2017》の日本代表が発表』
というビッグニュースが流れていた。
こんなにワクワクしたのはボーナスの日以来だ。

text by 石野ペコ
edit by PACHIMARI.JP

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World Cupといえば、自分なりの日本代表を妄想することも一つの楽しみ方であると筆者は思う。(もちろん、日本代表発表前までの楽しみではあるが。)大会で活躍していたプレイヤーや配信で人気のプレイヤーなどを組み合わせて、自分が考える最強の日本代表を構築する。Twitterやブログでそんな記事を書く方が見られるのもWorld Cupというお祭りならではないかと思う。筆者はそんなお祭が大好物である。

 

発表された選手と筆者が考えていたそれは完全に一致するものではなかったけれど、トライアウトの印象を踏まえると概ね納得のいくメンバー構成になっていた。

 

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《Overwatch World Cup 2017 日本代表》

deartn:Libalent Supreme (Tank)

Claire:USG Iridata (Support)

Yoz:RPG-KINGDOM (Support)

Jasper:Libalent Supreme (Flex)

Aktm:USG Iridata (Offense)

Ta1yo:USG Iridata (Offense)

 

今回、Overwatch World Cup 2017 国別競技委員会メンバーであるStanSmith氏に話を伺う機会が得られたので、その話を交えながら《Overwatch World Cup 2017》について綴っていきたいと思う。

今回の日本代表は「それぞれの良さをそれぞれが引き出せるチーム」

日本代表の選考結果について、StanSmith氏はこう語る。「競技委員会当選前に考えていたメンバーは入っていたり入っていなかったり。この6人は自分の力だけでは選べなかった。」確かにClaire選手は最初の競技委員会の発表では選ばれていない。もちろん、国内の大型大会《GeForce CUP》での活躍があったということもあるが、選手やサポートメンバーからの評価もあったものと感じられた。

 

また、GeForce Cup以降で成長を見せた選手もいた。deartn選手だ。GeForce CupではNovady選手のディフェンシブなウィンストンに軍配が上がったが、GeForce Cup後に行われたトライアウトまでにしっかり仕上げてきていた。「deartnの成長はすさまじいものがある。」とStanSmith氏も高く評価していた。

 

ちなみに以前は“だいりてん”という表記だったが、いつからか“deartn”へ変更していた。噂では“だいりてん”をどうにか格好良く表記したかったとのことだ。そのこだわり方が筆者のツボに入り、凄く好きな選手の一人になっている。

 

日本代表はTwitchでの公開トライアウトという形で選考されたのだが、プレイヤー達は多くの視聴者の前で実力を示さなければならなかった上に、配信には選手のボイスチャットも入っていて、その一挙一動が視聴者に聞かれるという環境で行われていた。筆者はチームベースで活動しているプレイヤーたちが、どの様な雰囲気で試合中にコミュニケーションを取っているのかとても興味があったので、こういった企画はすごく嬉しかった。筆者はこの配信を観るために残業を断り足早に帰宅した。

 

もちろん、このボイスチャットも選考の対象になっていたのであろう。このボイスチャットで一番印象に残ったのは、Vader選手の高笑い・・・もそうだが、選手たちのフォーカスコールである。相手ヒーロー名を連呼する選手たちからは、鬼気迫る迫力と代表選考にかける熱量が感じられた。

 

本代表メンバーは第2次トライアウトのボイスチャットを聞いている限りでは相性が良い印象を得ているが、実際にはどんなチームなのか。StanSmith氏は「それぞれの良さをそれぞれが引き出せるチーム」と称す。

 

また、「Jasper選手、deartn選手の前の2人とYoz選手、Claire選手の後ろの2人が声を掛け合っていて、前後がしっかりしているから、その間でDPS陣はやりやすかったと思う。それぞれが良い所を知っているから、仲間の強みを生かしつつ、自分の強みを生かせるんじゃないかな。」と、日本代表の連携の良さについても語っていた。

 

そして、代表について話を伺った数日後「練習を始めたが、普段は敵同士の選手達だけど本当に仲が良くて、選んでよかった(笑)」と氏からメッセージが送られてきた。トライアウト時の配信で感じた、切磋琢磨しながらも仲の良い雰囲気で日々練習に励んでいるのであろう。Overwatchは連携がとても重要なだけに、こういう言葉が聞けるのは素直にうれしい。

 

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Twitch上で行われた公開トライアウトの様子 画面前まで熱量が伝わってきた

世界への挑戦と日本代表への期待

World Cupといえば、その競技の一大イベントである。サッカーWorld Cupを例にあげると、普段サッカーを観ない日本人も一斉にブルーに染まり、日本代表チームとそれに選ばれた選手を応援する。かくいう私はサッカーにさほど詳しくないのだけど、呑み屋で行われているパブリックビューイングに行ったことがある。そこでは隣の全く知らないお客さんと肩を組んで喜びを分かち合ってしまう魔法にかけられた。やはり、国を挙げて皆で応援する一体感は、心地が良いものだ。

 

World Cupはそのタイトルを知らなかった人々にも興味を持ってもらう一大チャンスでもある。ラグビーや女子サッカーがその一例と言える。オーバーウォッチについても日本のチームが活躍すれば、日本国内からも世界からも注目される存在となるだろう。それくらいWorld Cupというこの魔法の言葉は、日本にとって大きな意味を持つ。StanSmith氏も「World Cupは、オーバーウォッチを知らない人に知ってもらうチャンスだと思っている。なので結果は重要視して行きたい。」と語っていた。

 

去年のWorld Cupではタイ代表のMickie選手が世界でもトップレベルのプロチームEnVyUsにスカウトされて加入することとなった。このように日本人プレイヤーが世界へ羽ばたく可能性も十分あるだろうし、出場する選手たちにとってはオーディションにも似たような場所になるかもしれない。

 

StanSmith氏はVaingloryの国際大会《VAINGLORY World Invitational》で準優勝という結果を残しているプレイヤーでもある。そこでの経験を次の様に語った。「海外の選手に覚えてもらう。そうしたら、またあいついるじゃんってなって、一回活躍すれば海外へ招待されたりもする。他にはVaingloryの国際大会で対戦相手だったプレイヤーと今でも飯を食ったりしている。そういう経験もできる。」

 

海外の選手と交流できることも国際大会の魅力だ。ぜひ積極的に海外選手と交流を行い、こういった経験をして欲しいと思う。

 

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前回行われたOverwatch World Cup 2016では、スウェーデン代表のIDDQD選手と韓国代表のMIRO選手が自身らの闘いを讃え合う様に抱きしめ合っていた

バラバラのメンバーが集まって練習できるのか?

《USG Iridata》、《Libalent Supreme》、《RPG-KINGDOM》の3チームの選手から構成される日本代表ではあるが、日本代表としての練習時間を確保できるのか、コミュニケーションは上手くいくのか。Libalent Supremeは台湾のプロリーグ《Overwatch Pacific Championship 2017 - Season2》の予選に出場しており、直近行われた《REALFORCE GAMING BRAWL》や《AOC OPEN※》には3チームとも参加している。もちろん、大会があればチーム練習が優先となると思うが、日本代表としての練習は行われているのか、情報が開示されていないだけに気になる部分ではある。※:USG IridataはAOC OPENを欠場

 

StanSmith氏は日本代表の練習姿勢について次の様に述べた。「限られた練習期間かもしれないけど、限られているからこそ、本気で取り組まないといけない。負けて自分の努力が大したことがなかったということは一番やってはいけない。練習ができない期間も、1日10分でも日本代表について考える、もしくはメンバーと共に海外の動画を浚うことができる。終わってからああしておけばよかった。こうしておけば良かったでは遅いから、やることはやり尽くして、後は大会に臨むだけだ、という気持ちで臨んで欲しい。」

 

日本代表になりたかった選手がたくさんいる。選考会で良い結果が出せず選ばれなくて悔しい思いをした選手がたくさんいる。想いを背負い日本の代表として選ばれた選手達に言いたいのは、振り返った際に後悔しないようすべてに対して準備し挑んでもらいたい。

 

トライアル配信でみせた、絶対負けたくないという気迫のこもったボイスチャットを聞いた私たちは、君たち6人を全力で応援するし、結果がどうあれ讃える心構えは出来ているんだ。

日の丸を背負ってグループステージが行われるオーストラリア・シドニーへ

7月21日~23日にオーストラリア・シドニーで行われるグループステージでは日本はグループDに位置し、フィンランド・スペイン・ベトナムと闘うことになる。21日は金曜日で平日なのだが、筆者は有給を取っているので日本代表と共に闘う準備は万端なのだ。

 

EnVyUsのTaimou率いるフィンランドは優勝候補のチームでもある。スペイン・ベトナムは日本よりも全体スキルレート平均は低いのだが、スペインにはEnVyUsのHarryHook選手を始め、プロチームに所属する選手が名を連ねる。ベトナムは《CyzoneVN》というプロチームのメンバーがそのままベトナム代表となっており、このチームは東南アジアで行われた公式大会《Overwatch SEA Tournament》で優勝している。侮れない相手である。

 

このグループDについて、StanSmith氏は次の様に語った。「死のグループであると思うので普通に練習をしていたらグループステージ突破は難しい。ベトナムはフィンランド・スぺインに勝つべく死にもの狂いで戦ってくるはず。なので我々はそれ以上の練習をしなければならない。フィンランドは優勝候補だけど、勝てなくはない。勝負って“何か”のきっかけで変わるときがある。勝負であるからには0.1%でも勝てる可能性があると思っている。まずは1勝して日本に良いニュースを届けたい。」

 

 

まずは1勝。この言葉からは絶対に勝つという強い決意を感じた。日本代表選手たちは多くの物事を捧げて、このWorld Cupに挑戦することになるが、それ以上の経験や名誉を持ち帰ってくるだろう。
強敵揃いのグループDを抜けることができるかどうか、筆者は(有給を取ったので)日本から見守りたいと思う。そして、歓喜の声を上げさせて欲しい。

日本の勝利を七夕に願う。

 

 

取材協力:StanSmith